伝えたいこと
プロダクトやチーム、そしてスクラムの継続性を維持するうえで、「ふりかえり」は最も重要なイベントです。
スクラムに取り組み始めると、多くのチームが失敗と学習を繰り返して自分たちなりのスクラムを定着させていくことになると思いますが、その中でポイントとなる重要なイベントがふりかえりではないでしょうか。様々な事情からいきなりスクラムに変えることができないチームも、まずはふりかえりから導入している事例をよく耳にします。
私自身もスクラム開発に取り組み始めてから、スクラムマスターとしてふりかえりをファシリテートしていく中で、「あの時のふりかえりでチームが前進した」「あの時のふりかえりでチームが新たな学びを得た」と感じたことが多々あり、ふりかえりはスクラムチームの継続性にとって重要なイベントであると実感しています。
この経験から、私が最初にスクラムに取り組んだ現場での1年間をふりかえりの切り口で改めて整理し、その後の別のチームではふりかえりを軸にチームをアジャイルにしていくことに取り組んでいます。それらの実例をご紹介するとともに、この経験を踏まえて私が考える継続性を意識したふりかえりについてお伝えします。
継続的なふりかえりとは、チームの過去・現在・未来をつなぐ支援をすることです。
- 過去
- チームは以前と比べて何がどのくらい変わったか
- 以前のふりかえりでの課題がどう解決したか
- 現在
- チームが今一番困っていることは何か
- このスプリントでどんなことが起きたか
- 未来
そして、継続的なふりかえりで特に私が意識しているのは以下の3つです。
- タイムボックス
- 時間オーバーしたり忙しいからと言って中止したりしない
- 継続的な状態をつくる基礎として定期的に同じリズムで実施することが大切です
- ふりかえり以外でのふるまい
- ふりかえりを意識してチームを観察し、支援する
- スプリント中のいつでも、ふりかえりの価値を高める機会があります
- 楽しむ
- ふりかえりを楽しむ
- 楽しくないふりかえりは継続が困難です
スクラムと私
株式会社ラクス は中小企業向けのクラウドサービスを提供し、19期連続増収で事業拡大中の会社です。私は2011年に入社し、BtoCサービスや北米向けサービスなどの新規事業の開発を経験した後、主力サービスである楽楽精算の大阪開発チームをリーダーとして立ち上げ、2018年からスクラム開発に取り組みました。スクラム開発に取り組んだことで、過去の開発経験も含めてチームが不確実性と向き合い敏捷性を高めていくことの重要性を改めて実感しました。2019年4月からは10年以上続くメール配信サービスの開発チームに異動し、マネージャとして従来型の開発プロセスを少しずつ改善してチームのアジリティを高めていくことにチャレンジしています。